勉強を楽しくする方法95〜時間×知恵〜

一人でできることなんてたかが知れている。

世の中を見渡してみれば分かる通り、休日でもスーパーは開店し、電車は運行している。

 

スーパーには商品が運び込まれ、電車には乗客が乗り込む。

商品は流通網を介して運ばれてきた。

そこにも、また他の誰かの働きが存在する。

電車の乗客は、どこかに移動して労働力を提供したり、商品の購入を通して企業に利潤を提供する。

こうして、この国の経済が回っていく。

自分一人休んでいても、他の誰かが働いてくれている。

そのことに気づいた時、世の中の凄さを実感するかも知れない。

 

 

一方で、自分一人の力もその世の中の一部ではあるが、決して大きなものではないことを自覚するべきだ。

もちろん、大きな意思決定を下す立場にある人は世の中に与える影響力は大きいだろう。

しかし、実質的には世の中を突き動かす力はマンパワーがものをいう。

その人一人ではできない。

いかに、その人の権力が大きくても、所詮人間一人の力なんてたかが知れている。

その事実、そのスタンスから始めると、環境に感謝できるかも知れない。

 

 

たとえば、大学という場所は教授がたくさん働いている。

教授の過去の経歴はインターネットで見ることができる。

その人が生涯をかけて、追求してきたテーマが描かれている。

中には、「こんなマニアックなことを研究できるものなのか」と感心してしまうこともあるだろう。

そこには、時間と労力とエネルギーが存在する。

そして、そういう人間の集う場所が大学であり、そこには設備や予算といった環境まで整っているのだ。

 

 

仮に自分が優秀な学生だとしても、その教授とディスカッションし、学べることは数多くあるだろう。

自分が優秀だからといって、学ぶべきものなど何もないというスタンスで臨むと、つかめるものもつかめなくなる。

まずは、その教授のはたいてきた時間と労力と得てきた知恵に敬意を払おう。

そのスタンスで、全力でぶつかっていけば、きっとたくさんの学びを得ることができるはずだ。

 

 

学会であろうと、研究会であろうと同じこと。

自分が勉強をどれだけしていても、人類の研鑽の集積を一朝一夕で凌駕することはできない。

先ほどの、世の中と同じことだ。

自分一人が休んでも構わず回っていくだろう。

しかし、自分がその世界に何らかの価値を加えることもできるかもしれない。

場合によっては、大きな衝撃を走らせることもできるかもしれない。

ただし、その世界の集積物や成果物をまずは存分に学んで、それができるのだと思う。

 

もちろん、自分を過小評価する必要はない。

世の中への貢献やエネルギーが研究を突き動かす原動力になる。

自分に自信を持ち、自分の能力を世の中のために役立てようとする姿勢は重要だ。

そのために、自分を磨き、学びを広げていく、深めていく。

そして、研究が進むにつれて力がついていく。

自分で何でもできるような気がしてくる。

しかし、初心を忘れてはいけない。

 

 

知の集積する場所に感謝する。

その発展に貢献する。

そこに人間が払ってきた時間と労力に思いを致す。

そうすると、そこへの敬意が自然と生まれてくるだろう。

そこから学んでみようと、思うことができたら予習を真剣にするだろう。

 

「予習」というものが、何かを学ぶ際に極めて大切だ。

 

もし、あなたが授業や研修を受けるならば、そこで紹介される参考文献を読んでみるだろう。

関連書籍でもいい。

とにかく、読んでから受けてみる。

 

これは、やりそうで、ほとんどの人がやらないことだ。

大人になればなるほど、この傾向は高まる。

これは本来、強制されることではないからだ。

しかし、ここにモチベーションの差が確実に現れる。

授業であっても、研修であっても同じこと。

どんなことを学ぶのかをあらかじめ、研究し、本を読んでおく。

そうすることで、問題意識が研ぎ澄まされていく。

授業へのモチベーションが違ってくる。

当然、質の高い成果物につながってくる。

今更ながら、予習の重要性の話である。

 

 

しかし、多くの人がおろそかにしてしまう。

それは時間もかかり、労力がかかるからだ。

今の時代は、さくっと短時間で学ぶことが求められている。

忙しい現代人にとっては効率性こそが重要だからだ。

そのスタンスでも学ぶことは当然できるのだから。

何度でも言おう。

これは、ほとんどの人がやっていないことだ。

やる時間がないとも言えるし、やる意欲がないとも言えるだろう。

 

 

何度でも言おう。

予習は、ほとんどの人がやっていないことだ。

やる時間がないとも言えるし、やる意欲がないとも言えるだろう。

 

 

ただ、この文章のテーマは常に勉強を楽しむこと、そしてそれによって成果物を高め、自分の成長につなげることだ。

そんなテーマで書いてきて95項目となった。

 

 

だから、相手が提供してくれる価値に対して、最大限その価値を享受するための下ごしらえは半ば必須事項。

避けては通れないし、避ける必要性がない。

授業や研修前に、関連する本を一冊読んでおけば、自分の物の見方は変化しているだろう。

学びの熱量に溢れているだろう。

 

 

予習してこそ、場所への感謝に成功するのかもしれない。

予習してこそ、学びに敬意を払い、本当の学びの価値を実感できるのかもしれない。

 

 

復習ももちろん大切であり、予習の時間が理想通りに取れるとは限らない。

ただ、予習をしているだけで、見える世界は確実に違う。

しかも、強制されるのではなく、自らやる予習が効果的だ。

こういう学生や社員は何でも言われる前にやる。

 

 

そして、知っている。

自らモチベーションを作ることが、最も効率のいい学びだということを。

 

初心忘るべからず。