勉強を楽しくする方法79〜『先にしくじる』を読んで〜
『先にしくじる』(山崎裕二)を読み、学んだことを共有したい。
人は自分の成功を願う。
成功願望や成長欲求を持っている。
そして、多くの人がそのような未来を望み、実現を期待する。
そのバイアスは少なからず、目標達成への努力に反映されていくこととなる。
ここに落とし穴がある。
一度決めたら、ポジティブな要素しか想定せずに、行け行けドンドンといった調子で突き進む。
それは一面的に見れば勢いあふれる強さに見える。
しかし、想定外の事態が起きたり、思わぬライバルの出現などが起きると、途端に勢いを失い、失敗するということもある。
これは、実は私たちの多くが経験していることではないだろうか。
なぜ、こんなことが起こるのだろうか?
それは私たちが何かに執着していたり、非論理的な思い込みや勝手な成功への確信を持ってしまっているからである。
知らず知らずのうちにそのバイアスを織り込んで計画を立ててしまっているのだ
では、この勝手な人間の思い込みをどうやって防いだらいいのだろうか。
これが筆者の主張する「プレモータム・シンキング」という手法で、要は「失敗」を前提に考えるのである。
今、考えている計画やプロジェクトが最終的に失敗に終わることを想定する。
この手法は医療関係者や軍など、絶対に失敗が許されない分野で実践されている手法だということだ。
失敗すれば、人命が損なわれる。
そいうことであれば、安易な理想論のみでは突き進めない。
慎重に慎重を期して、あらゆる方面に目を配り、抜けや漏れがないか細心の注意を払う。
絶対に失敗ができないのであれば、そういう手法をとるであろう。
しかし、それではまだ足りない。
実際に「想定」で失敗してみる。
当然、誰もがこのような作業をしたくない。
失敗をイメージするなど、これからの成功への道のりの足かせにしかならない。
プラスは何もない。
そういう風に思うかもしれない。
しかし、それが想定の甘さとなる。
失敗した結果をリアルにイメージする。
そして、失敗の原因を探るため、そのプロセスのどこに問題があったか、どんなクレームが出て、組織間のコミュニケーションや予算の問題など、様々な失敗の要因を徹底的に洗い出すのだ。
これを実行すると、如実に欠陥が浮かび上がってくる。
これは、失敗するべくして失敗したのだと、必ず思えてくる。
それもそのはず。
人は成功を前提に計画を組むのであり、失敗を前提に計画は組まない。
しかし、計画というのは失敗に傾きがちなのだ。
想定外のことは大なり小なり必ず起こる。
しかし、最初の計画にはその事態を反映ていなくても、現実に遭遇したくないことというものは起こるものなのだ。
プロモータム・シンキングはこれで終わりではない。
ここからその失敗する要素を解決するための計画を考える。
そして、そのアイデアを盛り込んで計画・プロジェクトを修正する。
その後はひたすら実行していく。
もちろん、途中で計画通り進行しているかをたえず確認しながら進めていく。
これで、かなりの確率で目標達成ができる。
成功できる。
人は往々にして、現実を甘くみる。
理想や達成への確信、自信といった要素は私も大好きだ。
それを前提に計画を組む。
その作業は楽しい。
しかし、同時に失敗する想定もしてみると、バランスが取れるのではないだろうか。
誰しも、想定してなかったことが現実に起き、狼狽したくない。
しかし、遭遇したくないことが実際に起こるのが現実だ。
理想の方向に進む計画が必要なのであれば、失敗から戻る振り返りも同様に必要だということだ。
盤石な計画というのは、期限内に目標を達成できること。
そこにはプラスの要素もマイナスの要素も盛り込んでこそ、プロセスに安定性が生まれる。
あえて言えば、文系的な発想と理系的な発想。
ロマン的な発想と論理的な発想。
優しい発想と厳しい発想。
こんな手法を両方とも持ってことに望めば、百戦危うべからずだろう。