勉強が楽しくなる方法90〜別の角度から光を当てる〜

人それぞれ得意分野があると思います。
普通の人よりは詳しい分野というものが誰しもあるでしょう。
そして、その分野は知らず知らずのうちに、私たちの「ものの見方」を構成しています。


私であれば、日本史や世界史が好きなので、どうしてもそのフレームで物事を見がちです。


日本史や世界史を学び始めた当初、私には期待がありました。
私たちの原型は何か。
日本人のストーリーを知りたい。
世界の中で日本はどんな役割を果たし、何が日本の強みなのかを知りたい。
世界の文明の興亡のダイナミズムを捉えたい。


私は物事を知るためには、比較対象を持つことが重要だと考えます。


たとえば、日本地図を見ると、北海道の面積が日本最大なのはすぐにわかります。
では北海道はどのくらい大きいのかを知るためには、どうすればいいのか。
それを知るためには、「第2位はどこなのか?」と考えてみることでしょう。

そして、第2位が岩手県であるということを知れば、日本地図を見ただけで1位と2位の歴然とした差があることに気がつきます。


さらに数字でも比較してみます。
北海道と岩手県の面積はそれぞれの面積が83450km²15280km²だとわかります。

このように両者を「比較」することで、北海道の面積の大きさをより実感することができるのです。


このように比較を通して、物事の本質は見えてきます。
私は日本史にも世界史にも本質的な発見を期待しました。


しかし、いざ学んでみると、最初は知らない人名や事件名の連続といった印象でした。
世界史に関しては繋がりの理解できない部分が何度となく登場しました。
正直、本質的な疑問を解決するどころではなかったのです。
物語にたとえると、登場人物と出来事が機関銃のように飛び出しては消えていく感じでした。
最初は理解だけで精一杯で、本質的な理解とは程遠い状態だったのです。
世界史で出てくる用語は、一般に馴染みが薄いものもたくさん登場します。
どちらかといえば、日本史の方がテレビでも取り上げられていたり、やはり日本人ということもあって馴染みが湧くと思います。
両者を比較すると私は、世界史に苦戦を強いられた感がありました。
学ぶ過程で当然のように、疑問に感じることがたくさん出てくるのですが、それも消化できないことが多かったように思います。
「そんなもんか」ということで折り合いをつけてやり過ごしていました。


しかし、一通り世界史の流れを理解できるようになってくると、しばらくしてから方々の出来事が繋がり出すという現象が起きます。


宇宙でたとえると、注目していた星が繋がって星座となるような印象でしょうか。
発見の連続は、感動を呼び起こし、世界史の威力と価値に気がつくようになります。
この世界史という枠組みは物事の本質を捉えるのに、大変有効だと確信するに至ります。
それは、世界史的な物の見方が世の中の全てなのではないかと思えるほどの、本質的な学びなのです。


そして、しばらくすると発見が途絶え、成熟期のような状態に至ります。
落ち着いたといえば聞こえはいいのですが、実際は刺激の少ない物足りなさを感じるようになってきます。


そして、世界史的な見方は社会を見る枠組みの一つに過ぎない。
自分に不足しているものの捉え方が確実に存在する、と考えるようになるのです。

 

たとえば、文系科目ばかり学んできた人にとって、数学や物理学、統計学などに対して苦手意識を持っている人は少なくないと思います。


そして、私たちは無意識的に、自分の得意とする学習から確立した物の見方で世の中を捉えがちなのです。


しかし、感じ方や考え方は人それぞれ千差万別であり、真逆の物の捉え方をする人も当然いるわけです。


そして、そういう人と話し合うことで違いを感じることが大切なのだと思います。


意見が合わないということで終わらせるのではなく、なぜその人はそのように考えるのだろうかということを辛抱強く探ってみるのです。


そうすると、自分の物の見方に足りていない角度がたくさんあるのではないか、ということに思いが到るかも知れません。


それは、自分の成長のチャンスであり、同時に知的好奇心を刺激する毎日へと突入する転機となるでしょう。


なぜなら、物の見方を構成する基盤づくりとなる学習は、知らないことから始まっていくからです。

 

先ほどの私の例で言えば、世界史を学んでいく過程と同じです。

最初はよく分からないけれども、後々繋がってくるという状態に行きつくはずなのです。

それは、葛藤あり感動ありのスリリングなプロセスそのものです。


自分の中に違う角度を持つために、今まで全く手をつけて来なかった分野を学習することで、自分のフレームは広がります。


別の角度からものを見るために、一歩踏み出すことができれば、より人生を豊かにしていくことができるでしょう。